2024年初頭から、土佐において技能実習生と地域の人々の交流拠点をつくる「わくせいProject」に研究室として参加している。このプロジェクトは、現在地域おこし協力隊として活動しているグラフィックデザイナーの阿部航太・美香夫妻を中心に、多様な主体を巻き込みながら進行している。本研究室は主に拠点となる民家改修の設計を担当する。遠隔で検討を進めながら、これまでに2回、現地にて改修対象である民家に寝泊まりしながらのワークショップを実施した。
【1st Workshop / 2024.03.19-24】
初回ワークショップでは、現地で既存状態を観察して詳細の把握、事前に作成した図面の修正を行いながら、メンバーが各々、民家を交流拠点としてリニューアルするにあたって気になる箇所を設定した。それを踏まえ、庭、既存エントランス、接道立面の3チームに分かれて検討を進めた。

検討の合間には、地元で活動する人を招いて街が歩んできた歴史や今に残る祝祭、文化について説明を受け、様々なエピソードを聞きながら街を散策した。
また、技能実習生の方々との交流も行った。阿部夫妻が定期的に開催している「ごはんの会」では、実習生と研究室メンバーがそれぞれ地元の料理を振る舞い、食を通して文化交流をすることができた。夜にはスポーツ会にも参加し、自然に生まれる会話の中で実習生の生活や彼ら自身の意識に触れる良い機会となった。

最終日には、地域の人々を招き、ワークショップでの検討の成果について公開プレゼンテーションを行った。
庭を対象とした班は、現在活用されていない庭の問題を庭とフロアレベルの高低差であると設定し、それを如何に解消するか、多様な形態を検証した。既存玄関の活用を検討した班は、エントランス付近のフロアを一部土間化するなど、内外を明確に分離するのではなく、空間的・心情的な“浅瀬”を設ける提案をした。接道立面を扱った班は、畑やショップスタンド、ウォールペイントなど、自然な交流のきっかけとなるようなオブジェクトを立面に与える可能性について検討した。
プレゼンに対し、地元の方からは実際にこれらの提案が実現した場合にどのような効果が生まれそうか、どう感じるか、など率直かつ現実的な視点から意見をいただくことができた。

