“Wagner Project”

“Wagner Project” – “Meistersinger in Nurnberg” –

ワーグナープロジェクトは、リヒャルト・ワーグナーによるオペラ『ニュルンベルクのマイスタージンガー』を、ヒップホップやラップといったストリートカルチャーと結びつけた9日館の『演劇』である。European Thinkbeltプロジェクトに引き続き、演出家である高山明氏とコラボレーションしたプロジェクトであり、 小林研究室が空間構成を担当した。
模型の作成やスケッチなどのスタディを通して、アイデアを練り、神奈川芸術劇場の大スタジオ内に仮設構築物として実現した。また、上演中の様子を記録し、実際のアクティビティから図面をつくる行為に挑戦した。

● PROGRAM
劇場内につくられた仮設の空間の中で、初日に行われる公開オーディションで選抜された〈生徒〉となるワーグナー・クルーに対し、〈先生〉となる現役のラッパーや詩人、歌人など、言語を扱うプロによるレクチャーやワークショップ、ライヴ、ラジオの放送、グラフィティのペイントなどが行われる。初めは、それらを受け取るだけのクルーたちが、9日間での授業を通して成長し、9日目にはクルーによるライブとパーティーが行われる。一般の観客と、演者としてのラッパーやアーティストたちの間に擬似的なコミュニティが生まれることを考える。

● DESIGN CONCEPT
一般に建築は、ロジカルなリサーチと創造的なアイデア、数多くのスタディを基盤にしながら、公共やクライアントへの説明という他者からの理解を得るプロセスを経ることではじめて実際の形として実現される。一方劇場には、ある程度閉じられ・制限されているからこそのある種の自由が与えられている。
今回、劇場を思考実験の場として捉え、このブラックボックスの中に、仮設の「道」を作ることを考えた。エントランスから螺旋状に続くエスカレーターを登りスタジオに足を踏み入れると、両サイドに立ち上がるグリッドフレームの間に残された空白に突き当たる。この真ん中の空白が、ある時は日常の延長のように人々が行き交う場、またある時は一転して舞台や花道となり、常に変化・逆転するストリートとなることを考えた。同時に、両サイドのグリッドフレームの中には、ラジオブースやグラフィティ工房、メディアアーカイブなどの様々な機能と、2.3m×3.6mのいくつものグラフィティが埋め込まれている。

また、予期せぬことが発生するこの生の実験場で生まれたアクションやプロセスを記録し、その記録自体を建築と呼ぶことを考える。プログラムからの設計という通常の設計プロセスを転倒させる。そしてこの実験場での試みが、都市を巻き込み、都市の中で再び生成されることを期待する。

http://portb.net/wagnerproject

構成・演出:高山明
出演:ワーグナー・クルー(初日のオーディションにて決定)
講師:Kダブシャイン、GOMESS、サイプレス上野とロベ
ルト吉野、斉藤斎藤、管啓次郎、柴田聡子、瀬尾夏美、ダースレイダー、ベーソンズ、山田亮太 and more!

音楽監督:荏開津広
空間構成:小林恵吾
グラフィティ:snipe1

演出助手:田中沙季
舞台監督:清水義幸(カフンタ)
照明ディレクター:高田政義(RYU Inc.)
照明:杉本成也(RYU Inc.)
音響ディレクター:稲荷森健
メディアディレクター:和田信太郎
技術監督:堀内真人
ドラマトゥルク:柴原聡子
制作協力:戸田史子
制作:小沼知子、及位友美(voids)

協力:早稲田大学大学院創造理工学研究科建築学専攻(小林恵吾研究室:畑江輝、舟橋翔太、吉村環紀、森澤碧人、北岡航)、
東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻、
東京藝術大学 芸術情報センター(AMC)

 

2年前