FUTURE HABITAT PROJECT 2021 @宮城県丸森町

2021年度から活動が始まった、これから先の「住む」を考えるプロジェクトである。

主に被災地で創作活動をされている作家・画家である瀬尾夏美さん、編集者の柴原聡子さんらとともに、小林研究室も地震や水害を経た町を訪れリサーチ活動を行なっていく。

瀬尾さんらがミクロな視点で現地での聞き取りなどによるリサーチを行い、小林研究室では近代化によるインフラや産業の変遷など、マクロな視点での動きをリサーチしていく。

2021年12月には宮城県丸森町を訪問した。2019年に台風によって大規模な洪水が起こり、1000件以上もの住宅被害を受けた地域である。今回の訪問では現地の現状や住民の話を聞くことを目的とした。

1日目

百々石公園から丸森町を眺める

2年経っても災害の爪痕が遺る丸森町を車で巡った。

丸森町大内地区の神楽が数年ぶりに復活し、見学させていただいた。

元消防士であり、災害後も丸森町の災害の原因究明や注意喚起に努める、宍戸克美さん宅を訪問した。研究室から持参した地形模型やマップを囲んでお話を伺った。市民にとっても理解しやすい、データを利用した自主的な防災対策の必要性や、過去の災害経験からの予測や土地利用のあり方について学ぶことができた。

2日目

五福谷集落の会長であった佐久間さんにお話を伺った。ここでは五福谷川での氾濫があり、集落の集団移転を決定した地域でもある。集団移転先は元の集落から徒歩5分ほどの場所である。

五福谷集落の移転先。災害時にはいっていた保険によって、建てられる家の規模も異なってしまう。80,90歳を超えて新たな家を建てる人もいる。

集団移転・集団移転は宮城県内では東日本大震災時にあったが、行政任せにすると4,5年かかってしまう。その間に別の場所に移転する住民などもいたそうだ。

また、移転先を区画整理しても空き地のままであるところが多い。今回は佐久間さんの決断によって周りの人も移転を決断でき、効率的な集団移転を実現していた。

佐久間さんは、集落が移転しても、もとの集落に通って集落活動は続けたいとおっしゃっていた。子供に代々受け継いでいくことが集落維持のモチベーションであり、元の集落は将来的に遊砂地になってしまうが、展望台などをつくり記憶を残したいともおっしゃっていた。

丸森町中心部から離れた山間部にある、筆甫(ひっぽ)地区を訪問し、この町で活動する地域おこし協力隊の方にお話を伺った。
丸森町の歴史を編纂されていた悦郎さん宅を訪問し地域の成り立ちや特徴について伺った。

3日目

丸森町の災害復興住宅の建設予定地を見てまわった。
ここも災害時は水没してしまった地域である。
また、町の中心部には土砂の仮置き場が残っていた。

今回の調査では、地域住民の目線でみた災害と住まいの動きについて学ぶことができた。住宅地の開発の時期、道路の開発の時期と住民のコミュニティの変化、鉄道、道路ができてからの宅地化など、時代によってにぎわいのある場所が動き、それも被害に影響していると考えられる。

今後、今回のようなミクロな目線での調査と、マクロな目線でみた社会全体の動きを重ね合わせることで、何が人々の住まいの変化へ影響しているかを炙りだしていく。

1年前