Bangkok Food Scape Workshop @Bangkok, Thailand Collaborating with Saga, and Chulalongkorn University

食と都市について研究するFOOD & the CITY研究会。中村航(日本大学准教授)、小林恵吾(早稲田大学准教授)、宮原真美子(佐賀大学准教授)の3人によって発足された、食と都市・建築に関する研究、デザイン、及び実践を行う研究会である。今回は研究の一環としてバンコクを訪れ、当時中村が所属していたチュラロンコン大学INDA、早稲田大学、佐賀大学の3大学共同ワークショップを実施した。

【Workshop / 2025.03.10-16】

ワークショップは3月10日から始まった。バンコクにおける、食を取り巻く商業化の渦の中で、屋上や屋台、市場といったバンコク固有の食にまつわる都市景観を更新する、新たな可能性としての場所を模索、提案するのがこのワークショップの主眼だ。

学生は3大学共同で4つのグループに分かれ、それぞれ水上市場、新興街区、余暇空間、夜市において計3日間のフィールドワークを行った。

チュラロンコン大学の学生が日常的な風景として受け入れているユニークな状態に対して早稲田大学と佐賀大学の学生はアウトサイダー的な視点で向き合い、各々固有の視点から議論を重ね、提案を検討していった。

バンコクでは、食というキーワードを介して様々なモノ、コト、ヒトが出会う。例えばチュラロンコン大学が管理する新興街区では、地元民に加え学生が多く利用するため、多様な飲食店や屋台が軒を連ねる。利用者と所有者の属性が多層的であるため、街区の中にミルフィーユ状に公共空間と私的空間が共存し、独自の景観が生まれている。

また、夜市はバンコク市民のナイトライフの根幹である。日が暮れるとどこからともなくわらわらと屋台群が形成され、その明かりに引き寄せられるように人々が集まってくる。街は灼熱の日中とは様変わりし、空調の効いた屋内空間で暑さを凌いでいた人々が、少しぬるくなった夜風のなかで、束の間市場の熱狂を楽しむのだ。

ワークショップ中はフィールドワークに加え、小林研究室のアジア調査の延長として、バンコク郊外のクロントイ地区にあるインフォーマル市街地の視察も行った。

また、Bangkok Tokyo Architecture の久米さんとワタンヤさんのご好意で事務所に招待いただき、取り組まれているプロジェクトや設計理念について伺い、多拠点で設計活動を行うBTAならではの貴重なお話を伺うことができた。

ワークショップ最終日には各グループが調査に基づき設計提案を行い、大学や立場を超え、活発に議論をすることができた。都市空間において、食を中心に自然に生まれる場を新たな建築の可能性と捉えることで。これまでにない物事の関係性を生み出すことができるのではないだろうか。

限られた日程の中で調査から設計提案を行なったことで過密なスケジュールとなることもあったが、楽しみながら無事ワークショップを完遂することができた。FOOD & the CITY研究会の活動はその舞台を移してこれからも続くが、このワークショップで出会った新たな仲間とも何らかの形で関わり続け、互いに切磋琢磨して行ければと思う。

2週間前